株式会社神戸大学キャピタル（本社：兵庫県神戸市、代表取締役：山口 正弘（以下「KUC」））は、KUC1号投資事業有限責任組合（通称：神戸大学ファンド）を通じて、株式会社サイト-ファクト（本社：兵庫県神戸市、代表取締役社長：川真田　伸（以下「サイト-ファクト社」））への新規投資を実行しました。

サイト-ファクト　概要
　サイト-ファクト社は、前身である公益財団法人神戸医療産業都市推進機構の「細胞療法研究開発センター（RDC）」から2023年3月31日にスピンアウトしたベンチャー企業です。

技術・ソリューションについて
　RDCは、世界初のCAR-T療法製剤であるスイス・ノバルティス社の「キムリア点滴静注（白血病等治療薬）」をアジアのCMOとして初めて製造しました。既に200症例超という日本・アジア屈指の製造・出荷実績があり、製造成功率はRDC95％（ノバルティス社米国工場90%）とより高い精度を実現しています（Jo et al., British Journal of Hematology, 2023 April 13）。

＜CAR-T療法とは＞
　リンパ腫・白血病の一部に対して用いられる、患者のT細胞※1にCAR※2を導入した遺伝子細胞製剤を投与する療法

※1 血中リンパ球の1種。ウイルス感染細胞やがん細胞を殺傷・排除する「キラーT細胞」と、他の免疫細胞のはたらきを調節する司令塔の役割を果たす「ヘルパーT細胞」に大別
※2 キメラ抗原受容体：抗原を特異的に認識する抗体由来成分をTCR（T細胞受容体：T細胞に発現する糖たんぱく質で、がん抗原等を認識する際に作用するもの）由来の細胞内領域と結合させて人工的に作られた、がん抗原を特異的に認識できる受容体のこと

　その実績・精度の源泉として、川真田代表は20年に亘りiPS細胞やMSC（間葉系幹細胞）など遺伝子細胞製剤の安全性と品質の規格化に関する基礎・実用化研究を推進し、世界における実用化をリードしています。
　サイト-ファクト社としても、PIC/S GMP※3準拠の細胞加工施設（CPC）を運用しており、国際基準の施設・体制下で遺伝子細胞製剤の受託製造が可能です。

※3 医薬品分野において国際的に調和されたGMP（医薬品の製造管理・品質管理の基準）及び査察当局の品質システムの開発・実施・保守を目的とした査察当局間の非公式な協力の枠組。スイス本部。欧州、アジア（台湾・香港等）、中東（イラン・トルコ）、中米（メキシコ）等、52の査察当局が加盟

　また、ノバルティス社との永年の伴走を通じ、細胞培養・製造のスペシャリストチームが運営組織体制・製造SOP（標準作業手順）構築・トレーニング体制・GMP体制構築・マテリアル管理・サプライチェーン構築といった製造ノウハウを蓄積しています。
　加えて、サイト-ファクト社は遺伝子細胞製剤製造における新規システムの研究開発・実用化を実施しています。ハード面では、シンフォニアテクノロジー株式会社と共同で細胞自動培養装置「Cell Qualia™ ICP System」を開発し、自動化に加え製造工程情報の電子化も実現しています。またソフト面では、製造工程における数値・在庫・スケジュール・人員・保全・資金等各種データをクラウド上で一元統合・連携できる新たな製造管理DXソフトウェア「CF 4.0」を開発しています。

本件投資背景
　世界の遺伝子細胞製剤・バイオ医薬品CMO/CDMOの市場規模は共に巨大かつ成長基調が見込まれます。その中でサイト-ファクト社は遺伝子細胞製剤特化型CMO/CDMOの日本・アジアのトップランナーであり、国の支援も得つつ、遺伝子細胞療法の開発、および多数の患者への提供を通じた大きな社会的インパクトが期待できる点をKUCとして高く評価しました。
　そして、神戸大学との関連性が強く（川真田代表は神戸大学医学部OBかつ現神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科特命教授）、また神戸地域との繋がりも強い（神戸市を母体とする神戸医療産業都市推進機構からのスピンアウトベンチャー）事も踏まえ、このたび新規投資を実行しました。

資金調達の目的
　海外大手製薬会社の遺伝子細胞製剤の大規模受注に備えるための事業加速関連費用（製造設備・人件費等）に充当されます。

今後のサイト-ファクト社の取組について
　遺伝子細胞製剤に特化したCDMOとして、国内製薬会社・バイオベンチャーとの治験製造・商用製造への移行を推進するとともに、海外大手製薬会社からの商用製造受注に向けて営業展開します。また、MSCやiPS細胞の薬機法下における商用原材料の製造・出荷を目指します。

株式会社サイト-ファクト　概要
設立　　　　　2022年10月18日
事業内容　　　遺伝子細胞製剤の商用品製造の受託 (CMO・CDMO事業)
本社所在地　　〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-11
　　　　　　　市民病院前ビル3階
代表取締役　　川真田　伸
HP　　　　　 https://www.cytofacto.com/

「神戸大学ファンド」 概要
名称　　　　　KUC1号投資事業有限責任組合
設立日　　　　2023年1月
運用期間　　　10年間
規模　　　　　22億円
運営会社　　　株式会社神戸大学キャピタル・
　　　　　　　SBI大学発ベンチャー育成支援株式会社
　　　　　　　（本社：東京都港区、代表取締役：後藤　健）
投資対象　　　① 神戸大学発ベンチャー
　　　　　　　　 （プレシード・シードステージのベンチャーも支援）
　　　　　　　② 他大学・研究機関発のベンチャー
　　　　　　　③ 神戸大学のOB・OGが創業したベンチャー

株式会社神戸大学キャピタル 概要
概要　　神戸大学発・地域発のシーズへの出資を行い、研究成果の
　　　　社会実装を推進する投資会社
設立　　2021年10月
所在地　〒657-8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1 産官学連携本部2階
代表者　山口　正弘
URL　　 https://kuc.vc/

【お問い合わせ先】
株式会社神戸大学キャピタル　担当：石田　真士
E-Mail：info@kuc.vc