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株式会社TCNプライムへの新規投資について

 株式会社神戸大学キャピタル(本社:兵庫県神戸市、代表取締役:山口 正弘(以下「KUC」))は、KUC1号投資事業有限責任組合(通称:神戸大学ファンド)を通じて、株式会社TCNプライム(本社:兵庫県神戸市、代表取締役:三池 信也(以下「TCNプライム社」))への新規投資を実行しました。

TCNプライム社 概要
 TCNプライム社は、神戸大学医学部付属病院 臨床研究推進センター 副センター長である小西明英特命准教授、および兵庫県立淡路医療センター 循環器内科医長の岩崎正道医師の技術の事業化を目指す神戸大学発ベンチャー企業です。

技術・ソリューションについて
 TCNプライムは、心不全等における心肺機能補助の際に使用する「新型ECMOカテーテル」と、重度大動脈弁狭窄症の治療に用いられる「心電図同期型BAVバルーンカテーテルシステム(カテーテルおよび駆動装置)」の2種類の医療機器を開発しています。

新型ECMOカテーテル
 従来のECMOカテーテルは、太ももの付け根にある腸骨動脈から挿入し送血する為、心臓が送り出す血液に対して逆流するもの(=逆行性)でした。そのため、弱った心臓に更に負担がかかり、心機能の回復も遷延していました。また、冠動脈を含む中枢側(脳等)へECMOで酸素を含ませた血液が届きにくいという課題もありました。
 新型ECMOカテーテルは、特殊な機構を備えることで、心臓への負担が軽減され心機能の回復が促進されるとともに、酸素化された血液を中枢側にスムーズに送り込むことが可能となりました。

心電図同期型BAVバルーンカテーテルシステム
 重度の大動脈弁狭窄症※1に対しては、現在開胸手術・TAVI※2・BAV※3の治療法が存在します。開胸手術は侵襲性が高い点・TAVIは人工弁が非常に高額であること、施設要件が厳しく治療を受けられる医療機関が限られていることが主な課題です。一方、BAVも治療効果が一時的であること・高頻脈ペーシング※4が必要であるが、これに耐えられないリスク患者(冠動脈病変や腎機能低下等の症状を併発している患者)が多く存在すること・医師の手技が煩雑であることがハードルとなっております。

※1 心臓の弁の一つである大動脈弁が硬くなり、弁の面積が狭くなる事でうまく開かず、心臓から全身に血液が送り出しにくくなるとともに、心臓に大きな負担がかかる疾患。進行すると失神、狭心痛や心不全を起こす。また、安静時でも息切れの症状が現れ、最終的には突然死に至る事もある。一般的に予後不良な重篤な疾患
※2 Transcatheter Aortic Valve Implantation(経カテーテル的大動脈弁植え込み術):胸を開かず、心臓が動いている状態で、カテーテルを使って人工弁を患者の心臓に装着する治療法。太ももの付け根の血管から挿入する「経大腿アプローチ」、左胸の肋骨の間を小さく切開し、心臓の先端(心尖部)から挿入する「経心尖アプローチ」などのアプローチ方法があり
※3 Balloon Aortic Valvuloplasty(バルーン大動脈弁形成術):太ももの付け根からカテーテルを大動脈弁まで挿入しバルーンを拡張させる事で弁の動きを良くする治療
※4 治療用のバルーンカテーテルを左心室内に挿入するほか、右心室内にもペーシングカテーテルを挿入し電気刺激を与える処置のこと

 心電図同期型BAVバルーンカテーテルシステムでは、バルーンの動きを心電図に同期させ、心臓が収縮し血液を送り出すタイミングでバルーンを萎ませ、心臓が拡張するタイミングでバルーンも拡張させることで、心臓本来の動き・血流を保ったまま、かつ拍出される血液にバルーンが流されることなく拡張(硬くなった大動脈弁をバルーンの収縮・拡張で開閉させ、柔軟さを取り戻させる処置)することが可能です。これによって、高頻脈ペーシングを省略しリスク患者への適用も可能となるとともに、手技の簡素化を実現できます。更に、従来BAVでは数回程度に限られていたバルーンの拡張回数を数十回〜100回に増加させ、高い効果を期待できます。加えて、バルーンの形状は大動脈弁に特化した形状となっている点も特長です。

本件投資背景
 KUCとして、「新型ECMOカテーテル」においては、既存のECMOカテーテル製品の課題を解決する製品としてニッチ市場ながらトップシェア獲得が期待できる点、「心電図同期型BAVバルーンカテーテルシステム」においては、TAVIの施術前に合併症リスクを排除するために行う「Pre-BAV」施術の活用拡大、および、侵襲性が低く、施設制限もなく、リスク患者にも適用できる、安価な大動脈弁狭窄症の新治療法として新市場を開拓することが期待できる点をそれぞれ高く評価しました。
 また、神戸大学の研究成果の社会実装を目指す神戸大学発ベンチャー企業の1社でもあり、神戸大学の異分野共創における重点領域の1つ「医工学」とも関連することから、このたび新規投資を実行しました。

資金調達の目的
 「新型ECMOカテーテル」(量産試作・安全性試験)、「心電図同期型BAVバルーンカテーテルシステム」(カテーテル・駆動装置の設計・試作)のそれぞれ開発に充当されます。

今後のTCNプライム社の取組について
 上記2製品の開発・治験および医療機器としての承認を得た上で、大手医療機器メーカーとのマーケティング協力も得つつ販売開始を目指します。

株式会社TCNプライム 概要
設立     2023年10月6日
事業内容   医療機器の開発および販売
本社所在地  〒113-0033 東京都文京区本郷1-28-10 NCIインキュベーター内
代表取締役  三池 信也
HP      https://www.tcn-prime.jp/

「神戸大学ファンド」 概要
名称     KUC1号投資事業有限責任組合
設立日    2023年1月
運用期間   10年間
規模     22億円
運営会社   株式会社神戸大学キャピタル・
       SBI大学発ベンチャー育成支援株式会社
       (本社:東京都港区、代表取締役:後藤 健)
投資対象   ① 神戸大学発ベンチャー
         (プレシード等、シードステージのベンチャーも支援)
       ② 他大学・研究機関発のベンチャー
       ③ 神戸大学のOB・OGが創業したベンチャー

株式会社神戸大学キャピタル 概要
概要  神戸大学発・地域発のシーズへの出資を行い、研究成果の社会実装を推進する投資会社
設立  2021年10月
所在地 〒657-8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1 産官学連携本部2階
代表者  山口 正弘
URL  https://kuc.vc/

【お問い合わせ先】
株式会社神戸大学キャピタル 担当:石田 真士
E-Mail:info@kuc.vc